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LiLz GaugeのAIがなぜスゴいのか元AI開発PMとして語らせてほしい

こんにちは!LiLzでカスタマーサクセスマネージャーをしております藤井です。
前回投稿した自己紹介のNoteでは、私はLiLz Gaugeの品質の高さについて言及しましたが、今回はLiLz Gaugeが提供するAIの質の高さについて、AI開発PMの視点から具体的に語っていきたいと思います!


そもそもAIはどのようにして開発されるのか

一般的な教師ありアルゴリズムを利用した機械学習モデル(AI)の開発について簡単に説明したいと思います。

Step1: 目的を決める
現状の抱えている業務を精査し、機械学習で解決すべき対象の業務を選定
Step2: データを集める
目的に合わせたデータを収集
Step3: 教師データ・テストデータを作る
収集したデータをもとに、機械学習アルゴリズムへ学習させるデータ(教師データ)とテストデータ(精度や品質を評価するデータ)を作成
Step4: AIモデルの構築
教師データとテストデータを元にハイパーパラメータを調整しながら、精度高くかつロバストなAIモデルを構築

ざっと図にすると以下のような感じです。

LiLz GaugeのAIを作るときの例も掲載しています。

AI開発に潜む3つの落とし穴

AI開発で最も重要なのが、データを元に開発が行われるという点です。
ここが通常のシステム開発と大きくことなる点であり、開発が思った通りに進みづらくなる要因が潜んでいます。
この章では私の経験から、AI開発に潜む落とし穴Best3を発表したいと思います!

落とし穴その① :データ収集に想像以上に時間がかかる
AIを開発するためには、まずデータを収集する必要があります。しかし、実際にAI開発を始める前には、データが揃っていることはほとんどありません。企画段階でAI開発について話し合っても、データを集めることが困難な場合があります。そのため、データ収集に想像以上に時間がかかることがあります。

落とし穴その②:性能は学習したデータの質に依存する
データ収集の問題を乗り越え、一生懸命データを集めたとしても、そのデータの質が重要になります。AIの精度は、学習したデータの質に大きく依存するためです。そのため、実証実験段階では精度が高く有用だと判断されたとしても、現場で実際に使えるレベルにならないこともあります。

円型計器1つをとっても様々な種類があり、現場で使ってもらうためにはこれらを考慮する必要があります。

落とし穴その③:性能向上にもデータが必要
AIの精度を向上させるには、精度が低い部分に関わるデータを再収集し、教師データを再作成して再学習する必要があるため、改善するための負担が大きくなりがちです。そのため、現場で使えるレベルに達するには、何度も学習とテストを繰り返す必要があります。
※自動的に再学習させる仕組みも存在しますが、受託開発を行う場合はそこまで踏み込めず、コストの問題からこの問題を解決できない場合もあります…

一方で、当社が開発しているLiLz Gauge”現場で使ってもらえる”商品です。 この記事ではLiLz GaugeのAIが上記の落とし穴をどのように回避し、商品を開発しているかお伝えします!

AI開発の登場人物のおさらい

さて、本題に入る前にAI開発の登場人物のおさらいをしたいと思います。
AIについての話題になると、初心者にとってはAIアルゴリズム、AIモデル、ハイパーパラメーターなど、様々な用語が出てきて難しく感じられます。そこで、料理を例にとってAI開発に必要な要素を簡単にまとめてみました。

AI開発は料理に例えると分かりやすい!

AI開発における登場人物と料理における要素の対応は以下のようになります。
・食材 → データ
・調味料 → ハイパーパラメータ
・レシピ → アルゴリズム
・料理 → AIモデル
・味 → 精度

料理を作る場合、食材と調味料をレシピに従って加工し、できあがった料理の味を判定します。同様に、AI開発ではデータとハイパーパラメータをアルゴリズムに従って処理し、できあがったモデルの精度を判定します。

LiLz GaugeのAIはどうなっているのか?

では、LiLz GaugeのAIはどのようになっているのでしょうか?
※ここにきてようやく本題です…
先ほど紹介したAI開発の登場人物に関して、LiLz Gaugeにおいてどのように利用されているかをマッピングした結果、以下の図のようになります。

図を1つ1つ解説していきます。
① データ = LiLz Camの撮影画像

LiLz Gaugeでは、データを取得するために専用のIoTカメラ(LiLz Cam)を開発しています。LiLz Camは、IP65の規格に批准されており、屋外でも利用ができ、電源・ネットワーク工事不要かつコードレスで設置できます。また、1日3回の撮影でバッテリーが3年間稼働する点も大きな特徴となっています。通常のIoTカメラでは、電源工事が必要だったり、IoT Gatewayのような通信のhubを設置する必要がある場合がありますが、LiLz Camはこれらが一切不要で自由度高くカンタンに設置できるため、質の高いデータを取得することができます。

② ハイパーパラメーター=計器設定機能
LiLz Gaugeでは、測定対象の計器に対して、計器設定と呼ばれる機能でカンタンに計測の設定ができます。例えば、計器の針の形や色をブラウザ上から指定することができます。これらをハイパーパラメーターとして利用することで、様々な形の現場計器に対応することができます。

慣れれで1分で計器設定ができ、計測が開始できます!

③ アルゴリズム = LiLzで研究開発したシンプルなアルゴリズム
LiLzで研究開発した機械学習/画像処理のアルゴリズムは、非常にシンプルなものを使っています。
通常、円型計器の値を予測するためには、下図のように多くのステップで処理する必要がありますが、そのような複雑な構成では、最終的な精度が低下してしまうことがあります。LiLz Gaugeでは、このような問題を解決するために、針位置を予測するだけの非常にシンプルなアルゴリズムを採用しています。

AIに頼り過ぎないUIによりシンプルで精度が高い方法を採用!

④ モデル = 計器設定の結果
LiLz Gaugeでは、LiLz Camで取得した高品質の画像データを元に、計器設定によるハイパーパラメータを追加して、特定の計器に特化したAIモデルを作成できます。
このAIモデルは、新しく撮影された画像を処理して指示値を測定することができます。つまり、LiLz Gaugeを利用することで、利用者自身がAIを作成していることになります。
そのため、少し前に流行ったノーコードAIツールとしてご利用頂くことができます(ノーコードを全面に押し出したブランディングは全くできていませんが….)。

このようにLiLz Gaugeではノーコードで計測したい計器に特化したAIモデル作ることができる仕組みを提供することで、現場にある様々な計器に対応することができるようになりました!

設定を工夫することで現場にある様々な計器が計測可能です!!

LiLz GaugeはAI開発の落とし穴をどう回避したか?(まとめ)

冒頭にお伝えしたAI開発関する3つの落とし穴に対して、LiLz Gaugeがどのように回避しているか、最後にまとめたいと思います。

落とし穴その① :データ収集に想像以上に時間がかかる
→ データ取得専用のIoTカメラを開発し、質の高いデータを取得できる仕組みを提供することで解決しています。

落とし穴その②:性能は学習したデータの質に依存する
→ 画像処理/機械学習が処理する箇所を限定させる人間中心設計にすることで、学習データに依存しない仕組みを提供することで解決しています。

落とし穴その③:性能向上にもデータが必要
→ ハイパーパラメータの設定に人が関与することができるため、精度を向上させる際にデータ収集不要で人が関与すること仕組みにすることで解決しています。

最後までお読み頂きありがとうございました!
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